組織のゆがみ指弾 高松塚劣化、あぶり出された「人災」(産経新聞)

 縦割り行政、問題先送り、身内意識…。文化庁の調査検討会が提出した報告書は、同庁に旧来しみついた「お役所体質」とともに、壁画保存に取り組む現場担当者に責任を負わせた組織のゆがみも指弾していた。劣化について明確な隠蔽(いんぺい)の意図はなかったとされるが、国民に公表せず、第三者によるチェック機能のマヒが劣化につながっており、「人災」の側面が改めてあぶり出された。

 報告書では、石室周辺の温度などを調整する保存施設の完成(昭和51年)を契機に、文化庁内の緊張感が欠如したと指摘。「近代的な施設(保存施設)が完成し、安堵(あんど)感にも似た心理が広がった」とし、チェック機能を果たす「保存対策調査会」が同年以降、開かれなくなった背景にも、組織的な気の緩みがあったとしている。

 当時の文化庁担当者は「調査会については引き継ぎも受けていないし、存在自体知らなかった」と証言。報告書では「調査会は有名無実化した」と記されたが、文化庁内部では「名」さえ忘れ去られていた実態が浮かんでいる。

 一方、文化庁の体質について、壁画管理体制が問題となった平成18年当時、文部科学相として対応に当たった小坂憲次氏は「文化財はすべて自分たちが管理するという意識があった。『国民とともに』という謙虚な姿勢に欠けていた」と指摘する。

 当時の文化庁関係者は「調査会が年に一度でも開かれていたら、外部の専門家の知恵を集めて劣化について幅広く議論できたはず」とし、「結果的に現場担当者だけに問題を抱え込ませてしまった」と悔やむ。

 報告書の内容は、24日に文化庁で開かれた学識者らによる「古墳壁画保存活用検討会」でも報告され、「人災」の側面について議論が集中した。白石太一郎・大阪府立近つ飛鳥博物館長(考古学)は「文化財保存の専門集団である文化庁が保存対策で不手際をしながら、報告書は抑制した表現になっている。もっと厳しく書くべきだ」と述べた。

 これに対し、報告書をまとめた劣化原因調査検討会の永井順國座長は「犯人捜しではなく、冷静な調査を心がけた。ただ、当事者にとっては厳しい内容になったはずだ」と話した。

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